photo: Satoshi Nagano

まちの先輩9人目:大石勇介さん(たぬき庵 料理人 / オザシキオンガクフェスティバル 主催)

2017/03/07

——図書館・歴史資料館「ふくちのち」は、利用する人たちのさまざまな挑戦を応援する場所でありたい。このコーナーでは、そんな想いも込めて、すでにいろんな挑戦をされている“まちの先輩”に、活動のきっかけやエピソードをインタビューしていきます。

まちの先輩第9回は、うどん屋「たぬき庵」を営みながら、地元田川で2015年より「オザシキオンガクフェスティバル」を仲間とともに主催する大石勇介さん。2016年に開催された第2回フェスティバルは、閉店し使わなくなった服飾店を会場に、子どもも大人も混ぜこぜになってライブパフォーマンスやトーク、DJ、エイサー、盆踊りなど、多種多様な表現を楽しめる場となった。そんな場づくりを行うきっかけは、板前修業で訪れた京都にあるという。料理人になり、イベントの企画をするようになったその経緯を伺った。

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photo: Satoshi Nagano

大石:料理の道に進んだのは、海外で出会った板前さんがきっかけです。高校を卒業した後、ずっと目標が持てなくて、実家の店を手伝ったりアルバイトをしたりして過ごしていました。それが、たまたま海外旅行中に訪れた日本料理屋で、日本料理の様式美や、料理人の持つ姿勢の格好良さに気づいてしまって……。その2年後、福岡市内の中村調理製菓専門学校へ入学し、学校の紹介で大阪にある老舗蕎麦屋「美々卯」の本店で5年間修行しました。

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丸くした蕎麦の生地を四角にする角出しの作業 photo: Satoshi Nagano

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蕎麦の生地を回して、手で均等に延ばす丸出しの作業 photo: Satoshi Nagano

美々卯にて、5年間ほぼ休みなく厳しい修行を経験した後、同店舗の京都・祇園店へ転勤した大石さん。自分の時間をつくる余裕もでき、趣味だったレコード収集を再開。暇さえあればレコード屋に入り浸たり、給料はほとんどレコードへ注ぎ込んでいたそう。そこで知り合った大学生と演劇を観に行ったり、レコード屋や本屋の店員と居酒屋でイベントを企画したりと、京都を拠点に自ら出来事を起こしていった。

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大石:京都でさまざまな人と出会い、自身の活動を通して、これまで料理しかなかった自分の世界がどんどん広がっていきました。レコード屋「100000t(じゅうまんとん)」の店長・加地猛さんと出会ったのもその頃。1周年記念イベントに関わったのをきっかけに、お店の2階にしばらく居候させてもらうことになったんです。100000tはまるで学校の保健室のように、さまざまな人を受け入れるレコード屋でした。ジャズのコレクターや劇団員、おじいちゃん、おばあちゃんDJから、果ては学校をサボって人生相談に来た女子高生まで(笑)。ただレコードを売っているお店ではなく、レコードを通して人の縁がつながっていくような空間を初めて体験して、いつか自分もこんな場所をつくってみたいと思うようになりました。

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100000tの店内と住居スペース

大石:2012年に100000tの店舗があるビルの取り壊しが決まり、立ち退きをせざるをえなくなったとき(現在は「100000tアローントコ」として京都市役所近くで店舗営業中)、実家から店を手伝って欲しいと連絡があったんです。最初は悩みましたが、それを機に福智町へ帰ってきました。京都で経験した“人がつながる場”を地元でもつくりたいという想いもあり、僕と同じくレコードの収集をしている田川出身の友人・竹野大喜と一緒に音楽イベントを企画。それが「オザシキオンガクフェスティバル」です。

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photo: Satoshi Nagano

大石:田川にもいろんな人がいます。ミュージシャンや農家の人もいるし、役場や工場で働く人もいる。そんな人たちが自由に音楽を楽しみながら、自然とつながっていくことのできる空間を目指して、手づくりのフェスを立ち上げました。会場のフロアはステージ以外、すべて畳(130畳!)。パンクロックからハウス、民謡、レゲエから盆踊りまで幅広いジャンルの音楽表現が集い、参加する人は走り回って遊んだり、座ってお茶を飲んだり、疲れたら寝転がることもできる。子どもからお年寄りまで、思い思いの楽しみ方をしてもらえるような環境をつくりました。2015年の初回はなかなか集客も厳しかったのですが、2016年の第2回からはじんわりとですが地元の認知度も上がり、全国からも音楽好きが集まるフェスへと変化しつつあります。

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地元、田川の子どもたちによるエイサー

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「オザシキオンガクフェスティバルin田川」でのパフォーマンスの様子(2016年)。会場では老若男女が一体となり盛り上がりました

大石:また、地元に戻って再発見した田川の盆踊りや民謡にも、このフェスでは目を向けているんです。田川の盆踊りには「口説き」と言って、太鼓に合わせる唄があります。田川は特にその口説きが特徴的で、テンポが早く、音楽のジャンルでいうと「ラガジャングル」を聴く感覚に近い。そうやって、これまでの経験をふまえ、まちを見直したとき“おもしろい”と思えることをフェスの中でも発信していけたらと思っています。

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「オザシキオンガクフェスティバルin田川」内で行われた田川郡香春町の盆踊り(2016年)。田川の人々と東京や大阪などの県外から来た人々と一緒に踊った

大石:このまちで「何かをやりたい」と考えている人たちが、オザシキフェスに参加すれば何でも“やってみることができる”という状況を、開催を続けながら整えていきたいですね。普段はちょっと変わっていると思われている人でも、自由に自分なりの表現ができることでスターになれる、主役になれる、みたいな(笑)。窓口はとことん広く、誰もが可能性を発揮できるような場所が理想です。

|インフォメーション|
たぬき庵
〒822-0007 福岡県直方市下境464-1
TEL:0949-25-1255
営業時間:11:00~20:55(閉店21:20)
     11:00~16:30(木曜日)
http://www.tanukian.jp/

オザシキオンガクフェスティバル in 田川
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Twitter:https://twitter.com/ozasikiongaku

ふくちのち道中ひざくりげ ~覆面楽団プルタタとジャイアントステップスがゆく〜
日時:2017年3月21日(火)16時
会場:ふくちのちまワィワィワ広場
観覧:無料!!
出演:永山愛樹(タートルアイランド)、NOIとZEN、プルタタ、GIANT STEPS
選盤師:竹野大喜(オザシキオンガクフェスティバル)、山響屋
https://www.facebook.com/events/224664081339959/

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