photo: Satoshi Nagano

まちの先輩7人目:植田祐一さん(ジョブサポートみろく 生活支援員)

2017/02/22

——図書館・歴史資料館「ふくちのち」は、利用する人たちのさまざまな挑戦を応援する場所でありたい。このコーナーでは、そんな想いも込めて、すでにいろんな挑戦をされている“まちの先輩”に、活動のきっかけやエピソードをインタビューしていきます。

まちの先輩、第7回目は「社会福祉法人 豊徳会 ジョブサポートみろく」の生活支援員・植田祐一さん。専門学校卒業後から7年間にわたり、障がいのある人の就労支援に携わっている。現在、就労移行・就労継続A型・就労継続B型の事業などを行う「ジョブサポートみろく」に勤める植田さんに、まずは現在のお仕事についてお話しを伺った。

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植田:私が勤める「ジョブサポートみろく」は、通常の職場で勤務することが難しいとされる障がいのある人たちの就労を支援する施設です。主に公共施設の清掃、街路樹や公園といった公共空間の整備・管理など市町村から受注した仕事、また一般企業の部品の組立、商工会からの依頼、胡椒や唐辛子の育成などの仕事に携わらせていただいています。また就労移行・就労継続A型の事業も併設していて、一般企業への就職したい方、離職したが再就職したい方、特別支援学校を卒業した方などの就職活動の支援も続けてきました。私たち支援員は、業務をはじめ、利用者の自動車や草刈りなどの免許取得、提出資料作成のサポートなどを通して、働く意義や喜び、楽しさを感じてもらえたらと日々尽力しています。

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現在、障がいのある人の全国総人数は約744万人。そのうち雇用施策対象者である在宅者は332万人の約4割、就労支援事業の平均月給は21,175円と言われている。一般企業への就職率も年々向上しているものの、いまだ決して十分とは言えない状況だ。そんななか、近年、女性の活躍推進やダイバーシティ・マネジメントなど、多様な社員の違いを受け入れる多様な働き方を見直そうという動きが高まりを見せている。障がいのある人もない人もともに働ける社会の実現を目指して活動する団体や企業も増えてきた。
参考:平成23年 厚生労働省 障害者就労の現状より

植田さんが支援員として働く7年の間でも、社会の状況は大きく変化しつつある。高校卒業後は保育士を目指していたという植田さんが現在の仕事に就くきっかけは、保育と介護の共通点に気づいたことだった。

植田:高校卒業後は、保育士を目指して専門学校へ進学しました。当初は、介護や福祉への興味はなかったのですが、資格取得のためには障がい者支援施設での実習が必須だったんです。そこではじめて施設に訪れたのですが、私たちと同世代の障がいのある人たちが一所懸命に働き、介護を受けて暮らしている姿に心が動かされました。「なぜこれまで気にしてこなかったんだろう」と思うと同時に、常識や枠組みにとらわれてしまっていた自分がいることにハッとしました。障がいのある人たちは、とても素直で純粋な気持ちで、私たちにぶつかってきてくれます。その無邪気な姿が、保育士として向き合いたいと思っていた子どもたちと重なったんです。実習での経験が、保育と介護の現場に何か共通するものがあるのではないかと気づかせてくれました。

入社当初は、快適な環境をつくる生活介護を行う入所施設に配属されていた植田さん。5年間の勤務を経て、2年前の異動から現在の就労支援に携わっている。業務内容は大きく変わったが、自分自身の転機を迎える機会にもなったという。

植田:日常生活行為の手助け、炊飯や健康管理などを手がける生活介護から、現在の就労支援と仕事の内容は変わりましが、基本的なコミュニケーションは変わりません。ただ、以前より、言葉の重みを考えるようになりましたね。就労支援の現場は、より社会と接点があるので、必然的に会話のやり取りも増えてきます。日々、「言葉」というのは、相手の解釈によって、さまざまな意味に変わるんだなということを実感しています。例えば、相手を鼓舞するための「がんばれ!」や「任せた!」という言葉が、想像以上に重い責任を感じさせたり、相手を傷つけたり……。「言葉」について改めて考えるようになりましたね。ただ、利用者さんも社会に出ると、その「言葉」と向き合わざるをえない場面もあります。そういうことも視野に入れ、日々の信頼関係を築きながら、誠意を持って伝えていきたいと思っています。

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植田:仕事をするうえで大切にしているのは、何事にも感謝し、やりがいを持つこと。「この仕事には、こういう意味がある」「これによって、たくさんの人が喜んでくれている」、そうやって仕事をすることで、お給料をいただき、生活をすることができます。その循環が実感できることが大事です。就労支援の現場でも、就労のための知識や技術はもちろん、そういった循環、仕事に対する姿勢も伝えたいと心がけていますね。

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植田:時間をかけて利用者さんと接していると、相手の尊敬できるところ、良いところが見えてきます。その良いところを引き出して、自信につなげて、彼らが社会に踏み出す勇気を後押すのが僕たちの仕事。まだまだ障がいのある人たちに対する社会の理解は足りていないと感じているので、少しでも改善していけるよう自分自身も力をつけていきたいなと思っています。

|インフォメーション|
ジョブサポートみろく
〒822-1212 福岡県田川郡福智町弁城2641-6
TEL:0947-22-3221
http://houtokukai.com/facility/job-miroku/

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