ふくちのブックレビュー

著・藤木久志『村と領主の戦国世界』東京大学出版会(1997年)
「歴史」という言葉を聞くとどんなことをイメージされますか。戦国時代の勇猛な武将たちの姿などでしょうか。本書は彼ら武将よりも、百姓や彼らが構成した村に軸足を置いて歴史社会の実相が明らかにされています。読了後には「歴史」のイメージの幅が広がっているものと思います。
著・笠松宏至『平凡社ライブラリー 法と言葉の中世史』平凡社(1993年)
例えば、歴史の話を読んだり聞いたりしているとき、ふと疑問が湧いてくることはありませんか。本書では、歴史社会におけるさまざまな疑問が全14章にわたって追及されています。各章独立しているので好きな章から始めて、別の章へとどんどん読み進めてください。歴史研究の楽しさに触れることができます。
編・吉村豊雄、三澤純、稲葉継陽『熊本藩の地域社会と行政―近代社会形成の起点―』思文閣出版(2009年)
江戸時代、細川家治世下の熊本藩では「手永」という地域運営制度がありました。本書にはそうした熊本藩の「手永」を軸に、地域の人々による藩への政策立案など驚くべき事実が記されています。福智町にもかつて細川家治世下の「手永」がありました。その時代の福智町を知る上で本書は興味深いことを教えてくれると思います。

3冊の本を選んだ理由

「ふくちのち」は、図書館とともに、歴史資料館を併設した施設となっています。そのことを念頭に、このブックレビューでは「歴史の楽しさに触れる3冊」と題して上記3冊を選ばせていただきました。「歴史の楽しさ」はこれだ、と言い切ることは難しいですが、いままで当然と思って見過ごしていた物事について、違った見方や価値観を発見することは歴史に触れる「楽しさ」のひとつではないでしょうか。こうした楽しさに触れることができる3冊を選ばせていただきました。もちろん、この3冊のほかにも歴史の楽しさに触れることができる本はたくさんあります。ぜひ、「ふくちのち」で歴史の楽しさに触れてください。

松本尚之(ふくちのち 学芸員)
1987年生まれ。大学在籍時より歴史学を専攻。専門は日本中世史。論文に「蒲御厨における地域社会の一様相」(渡辺尚志編『移行期の東海地域史』勉誠出版、2016年)など。

一覧に戻る