ふくちのちを彩る家具・カーテン・照明

2017/03/14

図書館の空間には、たくさんの本が並ぶことによって他の建築には無い美しさや迫力が生まれていると思います。ずらりと並ぶ本棚、そこに並ぶ色とりどりの本たち、それらを楽しむための机や、居心地の良い椅子、窓から差し込む柔らかい光、あるいは手元を照らすやさしい照明。もしかすると、数ある公共建築の中でも最も家具の多い施設のひとつが図書館なのではないでしょうか。空間と家具が一体となっているからこそ、図書館という特別な場所が生まれているのでしょう。

ふくちのちでは、それぞれの居場所を特徴づけるようなオリジナルの家具を考えました。例えば、児童コーナーに表紙が見えるように本の並べられる、まるで小さな家のような屋根面のある本棚が並んでいます。運営チームのみなさんと相談して、子どもたちが自分で調べ学習するときの助けになるよう、屋根にはそれぞれ色や模様の異なる壁紙が貼られています。

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また、中高生のコーナーには、無造作にちょっと腰掛けたり、段差を使って発表の場となったりする、地形のような家具が置かれています。ふくちのちの特徴であるたくさんの窓辺には、机が1列に並んで1人で勉強する場所もあれば、ゆったりと座ることのできるソファもあります。2階の多目的室前の窓辺には、奥行きの深いデイベッドがあり、ごろりと寝そべって本を読むこともできます。まちのみなさんから意見を伺った時に要望の多かった小上がりスペースでは、靴を脱いでくつろぐこともできます。1階のワクワクワ広場には、本棚やカフェのテーブル、キオスク、特集棚など、いろいろな家具が顔を出し、賑やかな広場の風景を生み出しています。

照明もとても素敵なものを計画しています。デザイナーの永富裕幸さんが上野焼の窯元・渡仁さんに協力を依頼し、福智町にしかない特別な照明をつくってくださっています。永富さんと一緒に渡窯を訪れ、試作を拝見した時には、大ぶりでどっしりとしていながら、釉薬の色がやわらかく、花器や茶器を連想させる照明となりそうで、その特別な存在感に興奮しました。今から完成が待ち遠しいです。

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カーテンもここにしかないカーテンの検討を進めています。運営チームの要望を踏まえ、光の入り具合を調整しながら空間がぱっと華やかになるようなカーテンを、デザイナーの安東陽子さんとともに考えています。もともと、さまざまな窓辺空間をつくることがコンセプトのひとつだったので、それぞれの空間に合わせて少しずつ表情を変えながらも、全体として統一感が出るように、カーテンの裾の部分に帯状のさまざまな模様を入れるデザインを考えています。中でも2階の窓に使われる予定の模様は、上野焼のさまざまな釉薬の色をイメージしてデザインされ、まるで印象派の絵画のようでとてもきれいです。

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特別な家具や照明、カーテンなどが入ることで、ふくちのちの空間がより居心地の良い、楽しい場所となるといいなと思っています。

大西麻貴 [建築家/o+h]
1983年愛知生まれ。2006年京都大学工学部建築学科卒業。2008年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。2008年 同大学博士課程在籍中に百田有希とともに、o+h(大西麻貴+百田有希)建築設計事務所を設立。

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